PoCがうまくいかない理由は、だいたい期待値の言語化に失敗している
PoCをやっていて、「手応えはあるのに、なぜか次に進まない」そんな感覚を持ったことはないだろうか。
技術的には成立している。
デモも動く。
関係者の反応も悪くない。
それなのに、
PoC自体は失敗していないのに、プロジェクトとしては失速していく。
この手の違和感に、何度も出会ってきた。
止める判断は、実はそこまで難しくない
PMの仕事として「止める判断」が評価されることがある。
確かに、それが必要な場面はある。ただ、経験上こう思っている。
止める判断自体は、そこまで難しくない。
なぜなら止める判断は、不確実性、曖昧さ、将来リスクを理由にできるからだ。
言い換えると、判断を未来に送る行為でもある。
本当にしんどいのは「期待値の言語化」
PoCで一番しんどい仕事は、技術検証でも、調整でもない。
それは「このPoCで、何を決めるのか」を言語化することだ。
これを言葉にした瞬間、責任が一気にPMに乗る。
曖昧なままなら逃げ道はある。「もう少し見ましょう」「次フェーズで考えましょう」
だが、期待値を言語化すると、その逃げ道は塞がれる。
だから、正直しんどい。
PoCの成功条件は「成果」ではない
PoCの成功条件として、よくこんな言葉が出てくる。
どれも間違いではない。ただ、それらは手段だ。
本質的な成功条件は、これだと思っている。
PoCの結果をもとに、次の判断ができる状態を作れたか
本番化するのか。限定導入にするのか。やらないと決めるのか。
この判断に必要な材料が揃ったかどうか。それがPoCの成否を分ける。
「分かること」と「分からないこと」を分ける
期待値の言語化で、PMが必ずやるべきことがある。
それはPoCで分かることと、分からないことを分けること。
分かること
分からないこと
ここを曖昧にすると、PoCは成功しても評価が割れる。
逆に言えば、分からないことを最初から「分からない」と言えているPoCは強い。
期待値を固定するのは、なぜ怖いのか
期待値を言語化するのが怖い理由は単純だ。
それは約束になるから。
PMがこれを言葉にした瞬間、曖昧さは消える。
だから
でも、その結果どうなるかは多くの人が経験しているはずだ。
曖昧なPoCは、だいたい次で詰む
期待値を固定しなかったPoCは、次のフェーズでだいたいこうなる。
誰も嘘は言っていない。ただ、最初に言葉が足りなかっただけだ。
PMの仕事は、この違和感から目を逸らさないこと
PoCの現場では、空気的には「うまくいっている」ことが多い。
だからこそ、PMが感じる違和感は言いづらい。
この違和感を「まあいいか」で流すか、言語化して場に出すか。
PMの仕事は、たぶんこの一点に集約される。
おわりに
期待値を固定するのは、正直しんどい。でも、それを避けたPoCは、静かに失速していく。
PoCを前に進めるのは、派手な成果ではなく、重たい言葉を先に置くことなのかもしれない。
少なくとも、自分はそういうPMでありたいと思っている。